First Light.


「だって理人は、」

「奏汰」

「いいだろ別に。隠してるわけじゃねぇし」


何かを言いかけた松尾さんにそれを引き留めた朱音さん。


「理人は捨て子なんだよ」


何の話かと思っていると目を細めてわざとらしく笑顔を作りながら言った。


「だからその電話の相手が親からじゃないってすぐ分かる。ていうか、理人は“親”っていうのがどういうものなのか分からないと思うよ」


産まれてすぐに捨てられたから。

表情は笑顔なのに、声が冷たい。
そんな大事なことを本人の了承なしに他人に言っていいのかとか、これは本人から聞くべき話だったんじゃないのかとか頭の隅で考えた。

あの時『親じゃないよ』と言った理人さんの雰囲気が少し変わったのはそういうことだったのか。


カランカラン、とドアが開いたのはその時だった。


「…ただいま」


理人さんだ。


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