勇気の歌(Summerloveの前の話)
「どうしたの?修………ご飯食べないの?」
「どうして、お前がここにいる」
「だって修、今朝つらそうにしてたから」
俺の隣にやってきて、サンドイッチを食べる松坂はやけにのんきだ。
「勇気、どう思う?」
「うーん、よく僕には分からないけど……、出来ることをしようって頑張ってはいるんだなって思ってる」
「そうか………お前はそう思えて偉いよ」
煙草を一気に吸い込んでしまいたい気がしたが、起業の事を考えたら身がちぢ困る。
「吸わないの?」
「吸うのにも……、気力が奪われる。なぁ、松坂どうしたら俺は生徒思いの生徒になることができる?」
「どうしたの急に?」
俺は全て松阪に話した。
勇気の事が、嫌いなこと。
学校を辞めようと思っていること。
生徒達の事を思って行動してるわけじゃなく、全て自分の為を思って行動しているやましい自分がいること。
その話を松阪は、怒る訳でもなく、叱るわけでもなかった。
「なーんだ。悩んでいたことそんなことだったの?」
松阪に怒られると思ったが、意外にあっけない返答だったゆえに少々驚いた。
「自分の為の理由でも、立派な教師のやり続ける為の動機だと僕は思うよ?」
「どうしてそう、言い切れる?」
「だって、嫌いだとか言いながら家庭訪問に足を向けて出向いて勇気くんと顔を合わせたことは、事実じゃん」
「それは、教師だからーーー」
「教師でも、家庭訪問をして生徒の顔をみようとしない先生なんてーーーいくらでもいるよ」
松阪の顔はみるみるうちに、萎んでゆく。