勇気の歌(Summerloveの前の話)

無知だった俺は



「何のために、教師をしてるのか」



十数年前。



この学校よりも、前の遠い公立高校。



同僚であるチャラ男英語教師「早羽」。



酒場でそう愚痴る。



「何や、改まって。 


堅苦しく持って働いてる奴が少数派や」



「妻子持ちには、伝わらないってことか?」




「青臭いのー。


酔の周り早ないか?」




俺を面倒くさがるように距離をとる早羽。


そのやり取りを人懐っこい天使の国語教師「松坂」は笑った。



「まぁ、そう思っちゃうよね。

ここの学校って、荒れてるから。


いじめも多いし」




小言に相槌を打ってくれる二人の正体。


若くイケメンであり将来有望株の現役復帰公務員。



ーーーだと、早羽が豪語しているのだが実際はどうなのか。


「そんなこと言ってたら、全部の学校がそうやで………。


ここの学校が酷いのは確かやけど、平和な学校なんて存在せん……」
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