勇気の歌(Summerloveの前の話)
俺のクラス。
2年5組。
副担任として、毎回教室の戦場に立つ日々。
生徒との攻防戦を続けている中。
一人クラスに浮いてしまった哀れな生徒というのが、どうしても出てきてしまう。
それは世界の摂理のように。
当たり前の現象みたいに扱われているけれど。
ーーー2年5組、30番、男子生徒、「勇気」。
アイツは、別格に………ヤバかった。
「アイツの噂は酷いもんやで………。
サッカー部1年担当している時も噂がぎょうさん流れてきよった。
「ネットイキリ野郎」だったり「Vチューバー、ストーカー野郎」だったり、悪口のオンパレードやったで?
あいつが何したんって言うんや………」
「俺から見るに勇気はあんまり人と喋るのが苦手な子なんだろうと思う。
あんまり話しかけない奥手だから、皆に誤解されてるんだ。
悪い奴じゃない。
ただ、ちょっとだけ空気が読めないっていうか………」
「ちょっと、修……。それはいいすぎなんじゃないの?」
「じゃあ自己紹介と評した公開処刑所見殺し授業に流行りの一発芸をかましたのは?
その後、誰もかまってくれないという爆死を俺からしてどうかばえと?」
引きつった顔。
松阪はもう溶け切ってしまった焼酎を一口。
「もうやめたれや。そんなんボロクソに言うんは。まだ子供やぞ?」