それは禁断という愛
里中さんが、いたずらな目で見つめてくる。

「だとしたら嬉しいけど、意識してこれまでの関係が、崩れるのは嫌だな。」

「はい。私もそう思います。」

私は里中さんを見た。

こうして改めて見ると、里中さんはイケメンの分類に入ると思う。

「じゃあ、今日気が向いたら来てよ。また外で待ってるから。」

そう言って里中さんは、背中を向けた。

「あの、私……」

話しかけると、里中さんは振り向いてくれた。

「今日、行きたいと思います。」

里中さんは嬉しそうに手を挙げると、足取り軽く行ってしまった。


何も、意識することはない。

お互い、30代の大人だ。

交際を断ったところで、仕事に影響するなんて思えない。


そしてポットのお湯が、沸かし終えた。

ボトルにティーバッグを入れて、お湯を注ぐ。

それだけなのに、頬がくすぐったい気がした。
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