それは禁断という愛
仕事を終えてオフィスを出ると、エレベーターで里中さんと瀬田さんに会った。

「お疲れ様です。」

二人に挨拶をして、私はエレベーターに乗り込んだ。

「ねえ、今日飲みに行かない？」

瀬田さんが、里中さんを誘っている。

「今夜は、先約があって。」

「あら、誰と？私も行っていい？」

何だか、どこかで聞いたような話。

ああ、数日前の私と怜奈ちゃんの会話だ。

「いえ、お得意様なんで。」

「あらそう。残念。」

エレベーターが1階に着き、ドアが開いた。

何となく、先に行きづらい。

「木原さん？」

瀬田さんに呼ばれ、私はようやく一歩を踏み出した。

ビルの出入り口までの間、二人は私の後ろを歩く。

「今度の企画、負けないわよ。」

「お手柔らかに。」

二人は普通に、仕事の話をしている。
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