それは禁断という愛
「記念日だね、今日は。」

スケジュール帳に、星をつけた。

まるで、その星が2重星に見えた。


翌日の朝。マンションから出た時だった。

「美麻先生!」

振り返ると、晴太君がスーツ姿で待っていた。

「晴太君。」

「おはようございます。出勤ですか?」

「ああ、うん……」

まさか、私を待っていた?

でも、出勤時間なんて人それぞれで、会えるなんて分からないのに。

「職場どこですか?」

「……南町の方だけど。」

「俺の職場もそっち方向です。乗って行きませんか?」

そう言うと、晴太君はマンションの前に停まっている車に行った。

「車?」

「俺、マイカー通勤なんですよ。」

そして、助手席のドアを開けてくれる。

「じゃあ、お言葉に甘えて。」

私は警戒心もなく、ただ元生徒だと言うだけで、晴太君の車に乗った。
< 39 / 47 >

この作品をシェア

pagetop