それは禁断という愛
身体が震えているのが、自分でもわかった。

私達の企画は、ただの私欲で選ばれたんじゃない。

会社の代表として、クライアント側に出しても恥ずかしくない、素晴らしい企画だからだ。

それを、公私混同しているからだなんて!


「もし、このような事が続けば、私は社長に直訴します。」

瀬田さんの訴えに、私も部長も驚いた。

「こんな、他の人が報われない会社だったなんて。私は、部長に失望しています。」

瀬田さんはそう言うと、席を立ち、ミーティングルームを後にした。

彼女の目には、涙が光っていた。


残された私と部長は、黙って彼女の背中を見つめていた。

「そんな風に、思われていたなんて。」

瀬田さんが、資料のデータを削除したと知った時は、ただの嫉妬だと思っていた。
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