ミントの恋のような
聡太は強面でコーヒーはいかにもブラックと見せかけて、クリープは絶対二つ必要で砂糖はまるまる一本いれる甘党だった。
体温が高いくせにわざと寒いと言っては寝る前、私にくっついてきて甘えるようにベッドに誘った。
片付け下手で散らかすのが得意なくせに、スーパーの袋はきちんと三角に折ってキッチンの引き出しにちゃんと入れるほど貴重面なところがあって、洗濯は私に任せきりにする代わりに、洋服や靴下やはきちんと裏返すことなく脱いで、洗いやすくしてくれたり、さりげなくお風呂掃除をしてくれたりと気遣いのできる人だった。

甘いセリフなんて滅多に言わないけれど、でも眠る前はいつも同じ言葉を私の耳元で囁いてくれた。

「嘘つき。ずっと一緒にいようって言ったじゃん」

私はいつからか、聡太との不確かな未来を勝手に夢見るようになっていた。ずっと二人でこれからも思い出を積み重ねていつか家族になるんだなんて、そんな想いを抱いてしまっていた。

別れるとき、聡太は見たこともないくらい辛く悲しそうな表情だった。

『ごめん。限界』

理由を聞きたかったけど、辛そうな聡太を前に何も言えなかった。でもなんとなく理由はわかった。

きっと私のことが重荷になったんだと思う。

思い返せば、聡太とのLINEが途絶えただけでなぜだが不安になってよく電話した。漠然とした不安から眠る前、訳もなく涙が出て聡太を困らせたりした。

時々、感情の起伏が抑えられなくて聡太にキツイ言葉を使ったり、聡太を試すような質問をしたりもした。

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