ミントの恋のような
だって好きだったから。
どうしようもなく好きだった。

けれど好きだけじゃ難しい。
きっと愛してると言われてもそれだけじゃ満たされない。どれだけ抱き合っても想いを伝え合っても、別の人間だから全部を分かり合うことは不可能だから。

私はどこからかきっと聡太の全部を欲しがりすぎたのだと思う。

愛はミントが土に根を張り繁殖していくように、一度根を張れば強欲に心のままに、どこまでも増殖していくモノなのかもしれない。

でもね、もっと私を知って欲しかった。悪いところは叱ってくれて良かったし、面倒な時は素直にそう言って欲しかった。

心が疲れてしまう前に、もっと言葉にしてほしかった。何も言わなくても無理に言葉を探さなくても、私が困らせたときは私をただ抱きしめてくれたらそれで良かった。

「……聡太……っ」

ミントの味が口内から消えて、私の両目から涙が溢れ出した。かけがえのない時間はもう願っても泣いても戻ってこない。

泣くのは今日で終わりにしよう。
そう思って聡太と初めてキスをしたこの海に来たけれど、まだ難しいかもしれない。何をしていてもどこにいても私はこのミントの匂いと共に聡太を思い出す。

どうしたって頭の片隅から離れない。
忘れられない。


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