歪んだ月が愛しくて3
立夏Side
「―――で、何でお前はシキの素性を知ってんだよ?」
あの後、自室に戻ろうとした俺の腕を掴んで我が物顔で部屋に転がり込んで来た“B2”の4人。
彼等は俺をソファーに座らせて、その横にアゲハが陣取る形で俺の逃げ場を塞いだ。
そして冒頭の一言。
まあ、そっちの立場からしたら仕方ないけどさ。
「……てへぺろ♡」
「全然誤魔化せてねぇんだよこのドアホ!!」
でも、ごめんね。
俺にも話せることと話せないことがあるんだよね。
「ま、まあまあ…、そんな怒らなくても…」
「頼稀くん、とりあえず冷静に。時間はたっぷりありますからじっくり詳しく話を聞くとしましょう」
「ああ」
「あれ?もしかして皆結構怒ってる感じ?それって俺のせいだったりする?」
「茶化しても誤魔化させれないよ駒鳥。そんなことをしても僕等の追及からは逃れられないし、これ以上頼稀の小言を聞きたくなければ素直に話した方が身のためだよ」
「えーん、お母さんが怖いよー」
「あ゛ぁ?」
「嘘ですごめんなさい」
あはは、笑えねぇ…。
マジでキレてんじゃん頼稀さん。
それから頼稀の眼力に耐えられなくなった俺が口を開くのは早かった。
「えっと、何から話せばいいのか…」
「俺の質問に正直に答えろ」
「……はい」
だから声低いって。
魔王かよ。
「まずシキの素性をどこで掴んだ?」
「結城さん」
「あ?……お前、まさか1人で結城さんに会いに行ったのか?」
「うん」
結城さんに“鬼”の調査を依頼したのは少し前のことだった。
その調査結果を聞いたのがその翌日で、どう料理しようかなって思っていた矢先タイミング良く向こうから接触して来たから喧嘩売ってみたわけだ。
「でもよくあの人と会えたね…。あの店のシステム知ってたの?」
「いんや。でも行ったら普通に出て来たよ」
「「(嘘だな…)」」
「顔に“嘘”って顔いてあるけど本当だからね?嘘じゃないよ?」
実際、俺は何もしてないし。
向こうから出て来てくれたのも本当だし。
まあ、俺的には助かったけど。
「……結城さんから何を聞いた?」
「それは秘密」
「あ?」
「俺にだってプライベートはあるからね。言いたくないことの一つや二つはあるよ。あ、でも“鬼”の幹部の素性は聞いたよ」
「………」
「その素性について僕等にも教えてくれないかい?」
「もち」
俺はズボンポケットからスマートフォンを取り出して、結城さんからのメッセージを開いてテーブルの上に置いた。
そこに表示された文字に4人が釘付けとなる。
①本名不明(ミキ)
総長
②鏡ノ院朔楽(サク)
副総長
2年A組
③紫姫瑛(シキ)
参謀
2年A組
④水蓮桔梗(キョウ)
特攻
3年A組
「取り急ぎ聞いたのはこんだけ。後はまあ追々ね…」
その追々がいつになるか分からないけど、それについては今説明する必要ないよな。
「これが“鬼”の素性…」
「あ、だからシキのこと先輩って言ってたんだ」
「相変わらず仕事が早いね、あの人は」
「……つまりこの4人が現在の風紀委員ってことか」
「みたいだね」