歪んだ月が愛しくて3
立夏Side
「―――今すぐ大人になれとは言わない。だがな自分の行動や発言に責任の持てる奴になれ。まあ、そっちの方が難しいとは思うが。てなわけで教師からの説教は以上だ」
ごくりと、誰かが息を飲む。
それも1人や2人じゃない。
「精々休みを満喫しろよ」
ガタンッと。
彼等は一斉に立ち上がり、天に向かって拳を突き出した。
「うっしゃぁあああ!!皆の衆来たぜこの季節ぅうう!!」
「恵みの雨だぁ!!夏休みだぁああ!!」
……うん、まあ、気持ちは分からなくもないけど。
「遊ぶぞ!食うぞ!バイトするぞ!勉強なんざクソ喰らえだぁああ!!」
だからって皆テンション高過ぎでしょう…。
「お前クソって…」
「希って案外口悪ぃよな」
「まあ、頼稀くんの幼馴染みだしな…」
「でもお休みって嬉しいよね。僕も今からワクワクしてるもん」
「ぷぷっ、アオってばたーんじゅーん」
「お前が言うな、真正単純バカ」
「え、俺って単純?アオよりも?」
「呆れた。自分のことを単純って思ってなかったわけ?武藤以上の単純バカに決まってんだろう。寧ろお前以上の単純バカはこの世に存在しない」
「断言しちゃうの!?」
楽しそうな笑い声。
いつものバカ騒ぎ。
でも皆の声が耳を通り抜けて頭に全然入って来ない。
(もう夏、か…)
あの季節が、また始まる。