歪んだ月が愛しくて3



立夏Side





「―――今すぐ大人になれとは言わない。だがな自分の行動や発言に責任の持てる奴になれ。まあ、そっちの方が難しいとは思うが。てなわけで教師からの説教は以上だ」



ごくりと、誰かが息を飲む。

それも1人や2人じゃない。



「精々休みを満喫しろよ」



ガタンッと。

彼等は一斉に立ち上がり、天に向かって拳を突き出した。



「うっしゃぁあああ!!皆の衆来たぜこの季節ぅうう!!」

「恵みの雨だぁ!!夏休みだぁああ!!」



……うん、まあ、気持ちは分からなくもないけど。



「遊ぶぞ!食うぞ!バイトするぞ!勉強なんざクソ喰らえだぁああ!!」



だからって皆テンション高過ぎでしょう…。



「お前クソって…」

「希って案外口悪ぃよな」

「まあ、頼稀くんの幼馴染みだしな…」

「でもお休みって嬉しいよね。僕も今からワクワクしてるもん」

「ぷぷっ、アオってばたーんじゅーん」

「お前が言うな、真正単純バカ」

「え、俺って単純?アオよりも?」

「呆れた。自分のことを単純って思ってなかったわけ?武藤以上の単純バカに決まってんだろう。寧ろお前以上の単純バカはこの世に存在しない」

「断言しちゃうの!?」



楽しそうな笑い声。



いつものバカ騒ぎ。





でも皆の声が耳を通り抜けて頭に全然入って来ない。





(もう夏、か…)





あの季節が、また始まる。


< 2 / 91 >

この作品をシェア

pagetop