歪んだ月が愛しくて3



……こう言うのは我に返ると物凄く恥ずかしい、と言うことを学んだ。

穴があったら入りたい。



しかも、さっきまで俺何してた…?



ふと顔を上げて、固まった。



(ちっっっっか…!!)



鼻と鼻がくっつきそうな…、角度によってはキスしてるようにも見えるその近さに一気に体温が上がった。



「……立夏?」

「っ、……は、なれて」

「………」

「ち、かいから、離れて」

「今更だろう」

「だよね!でも離れて今すぐ!」



さっきまではそれどころじゃなかったんだよ!



真っ赤に染まっているであろう顔を片手で隠しながらもう片方の腕で距離を取る。
でも如何せん俺を抱き締める腕の力が強くてびくともしない。



「はーなーせー!」

「自分から抱き着いて来たくせに我儘な奴だな」

「それは謝る!謝るからもう離して!」

「……勿体ねぇから嫌だ」

「何が勿体無いの!?体温!?会長寒がりなの!?今夏真っ只中だよ!?」

「あー…人肌が恋しいな」

「アンタは寂しくて死んじゃうウサギか!?そんなに人肌が恋しかったら誰かに抱き締めてもらえばいいでしょうが!会長に誘われたら誰だって喜んで抱き締めてくれんだろう!」

「お前は?」

「は…、」

「お前は俺が頼んだら抱き締めさせてくれんの?」

「っ、お、俺以外の人はだよ!」

「じゃあいい」

「何がいいんだよ!?てかとりあえず離してよお願いだから!こんなところ誰かに見られたら…っ」

「このフロアは覇王以外立ち入り禁止だ」

「その3人に見られたくないから言ってんだよ!」

「………」



そう言うと会長はムスッと不機嫌そうに目を細めた。



いや、何でだよ。

何でそこで不機嫌になるんだよ。

確かに抱き着いたのは俺からだから我儘って思われても仕方ないけど、もしこんなところを誰かに見られたら…。

俺はよくても会長が困るはすだ。

だってこのフロアが覇王以外立ち入り禁止だとしてもそれは生徒に関しての話であって、もし何かの理由で先生が…、





『だって、貴方はあたしの大切な人の“お気に入り”なんだから』





葉桜先生に見られたら困るのはそっちじゃないの?


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