冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~
その人物は、会社で俺の上司、中条冬美主任だった。

主任は、今月の初めに大手の出版社から、俺がいる中堅の出版社へ転籍し、俺が所属する営業部書籍課へ主任として配属された。

ちなみに俺はまだ平だ。この4月に主任に昇進するんじゃないかと噂されていたが、それが本当なら、そのポストを彼女にかっさわれた事になる。

周りは俺に同情してくれたが、俺は出世にはあまり執着しておらず、従って気にもしなかった。
むしろ気楽な平でいられて良かったな、と思ったぐらいだ。

主任は、大手出版社にいただけの事はあり、かなり優秀で、着任してまだ日が浅いにも拘わらず、遺憾なく能力を発揮してると思う。冷静沈着にして理路整然。

しかし相手が部下の時はもちろんだが、上司であっても歯に衣を着せない所があり、早くも周囲に敵を多く作っているらしい。

ちなみに俺は中立の立場だ。味方でもないが敵でもない。

姉貴のおかげで気の強い女への免疫があり、敵対する気にならない代わり、姉貴と違って危うい所が見当たらず、敢えて味方する気にもならない。

姉貴を引き合いに出すのは、俺が自他共に認めるシスコンだからだが、それについては徐々に解消中だ。今みたいに、側にいられると逆に悪化するかもだが。

もとい、そんな主任が突然俺の家へ来たのだから、戸惑って固まるのも無理はないと思うのだが、

「君って、頭悪いのね。せっかく……」
< 3 / 101 >

この作品をシェア

pagetop