冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~
「もう、うるさい!」
「すみません」

怒られてしまった。しかし家族の誰かと会社の上司が友人って、かなりレアであり、驚いて大声を出しても無理ないと思うけどなあ。

「そもそも、私と君は葉子の披露宴で会ってるのに、なんで気付かないのよ!」

「えっ、そうだったんですか?」

なんでと聞かれても困るが、強いて言えば俺は姉貴以外は眼中になく、まして当時は面識が無かった主任があの場にいたとしても、気付かないのはむしろ当然だと思う。

主任は真っ直ぐ俺を睨んでいた。今までも主任が俺達にキツく接する事はあったが、こんなに怒った主任を見るのは初めてだ。


「冬美、久しぶり!」
「あ、葉子。すぐ来れなくてごめんね?」

後ろから姉貴が来て、主任のキャラがガラッと変わった。

「ううん、遠いのに、来てくれてありがとう。さ、上がって?」

「うん。この子が栞ちゃんね? 可愛い……」

主任は姉貴が抱っこしている栞に顔を寄せ、満面の笑みを浮かべた。そんな主任を見るのも、俺は初めてだった。
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