冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~
「来た!」
「来ましたね」

冬美さんはすくっと立ち上がり、

「まーくんはお風呂場に隠れてて。私は靴を隠すから」

と言ったが、俺は全く動かなかった。なぜなら、冬美さんと社長は愛人関係ではないと確信しており、であれば、俺は逃げ隠れする必要は無いはずだから。

「まーくん、どうしてじっとしてるの!?」

「大丈夫です。俺、わかってますから」

「何をわかってるの? ああ、もう、どうなっても知らないからね!」

冬美さんはそう言い捨てて、玄関へ向かって行った。

実は社長と冬美さんは、親子だと俺は思っている。と言うより、確信している。だから大丈夫……じゃない!

もし可愛い娘の家に、男が泊まり込んでいたとしたら、ちょっとした修羅場になるんじゃないのか?

俺は慌てて冬美さんを追い、

「冬美さん、やっぱり靴を……」

”隠してください”と言おうとしたが、ドアの向こうに立つ社長と、目が合ってしまった。
< 65 / 101 >

この作品をシェア

pagetop