冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~
そして俺は、冬美さんの温かくて柔らい唇を俺のそれでこじ開け、舌を差し込み、彼女の舌に絡めて行った。
次に冬美さんの首筋に舌を這わせると、彼女の口から甘い吐息が漏れ始め、俺は彼女のブラウスのボタンを一つずつ外して行ったのだが……
「しまった……」
大事な物が無い事に俺は気付いた。それは、避妊具だ。ゴムとも言うが。
遊び慣れていない俺には、それを持ち歩く習慣が無い。常時携帯するのが男のマナーなのかもしれないが。
外に出すという手段はリスキーだし、俺には自信が無い。思い切って冬美さんに、俺の赤ちゃんを産んでもらう、という選択肢はとても魅力的に思えるが、それには冬美さんの承諾が必要であり、それをするのは時期尚早と思われる。
あ、そうか。ひょっとすると冬美さんが持っているかもしれない。あるいは寝室のどこかにあるかもしれない。
という事で、
「どうしたの?」
という冬美さんの問い掛けに、
「アレが無い」
と、シンプルに答えた。避妊具とかゴムという、直接的な言葉は恥ずかしくて言えなかった。
すると冬美さんは、
「アレなら、そこに入ってるよ」
と、真っ赤な顔で引き出しを指さした。
やはりアレは寝室にあったんだな。
少し複雑な心境で引き出しを開けたら、確かに避妊具がそこにあったのだが、完全なる未開封状態だった。
俺は、ある希望的観測を心に秘め、
「これって、いつの間に……?」
と聞いてみた。『前に買ったの』とか、『いつかは忘れたわ』みたいな答えだとつまらないのだが、
「今朝、コンビニで買ったの」
と冬美さんは消え入りそうな声で言い、それは正に俺が期待した答えだった。
「という事は、あの時点で冬美さんは……」
「言わないで!」
俺とこうなる事を予想、もしくは期待していた事になるわけだ。
「冬美さんって、やることなす事、みんな可愛いのな? 大好きだよ」
と言って冬美さんを抱き締めると、
「私も、まーくんの事、全部好き」
と言って冬美さんは抱き返してくれて、俺と冬美さんは、身も心も一つになるのだった。