冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~
日曜の昼前。俺と冬美さんは共同で家事を一通り終え、リビングのソファに並んで座り、まったりとしている。

本当は二人で出掛けたいところだが、田中という男がいつ現れるかわからないので、なるべく外出は控えている。

「お昼、何食べたい?」
「冬美さんが作ってくれる物なら、何でも食べるよ」

「そう? じゃあ、パスタでいいかしら?」
「オッケーです」

てな会話をしつつ、俺はどう切り出そうか思案していた。それはひとつの”賭け”なのだが、俺はその賭けに、何としても勝利したいと思っている。

「ところで冬美さんは、熱帯魚って飼った事ある?」
「熱帯魚? ないけど?」

よし! 第一関門突破。

「あの辺りに水槽があって、熱帯魚なんかが泳いでたら、綺麗だと思わない?」

俺は部屋の一角を指さし、冬美さんに聞いてみた。

「そうね……そうかも」

よし! 第二関門突破。

「熱帯魚ってさ、世話が結構大変なんだよね。特に水替えなんかは、高度な知識と体力が必要なわけ。しかも豆にしないといけないんだ。冬美さんにそれが出来ると思う?」

「ううん、思わない」

よし! 第三関門突破。

次が最終関門なのだが、果たして突破出来るだろうか……

「あの辺りに水槽台と水槽を置いて、熱帯魚を飼うってどうかな?」

俺は冬美さんに表情を読まれないよう、努めて涼しい顔でそう聞いてみた。
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