冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~
「いいんじゃない?」

よっしゃ! 最終関門突破……と考えて良いのかな?

冬美さんは呆気なく同意したわけだが、俺の真意は伝わっているのだろうか?

何も考えずに言ったんじゃないのか?
うん、たぶんそうだ。

「あのー、冬美さん。熱帯魚は言ってみれば”ブラフ”であって、本当の意味は……」

「まーくんが此処で暮らすって事でしょ? いいわよ?」

「へ? あ、そうですか」

「さてと、パスタを茹でようっと。上手くアルデンテに出来るかなあ」

とか言って冬美さんは立ち上がり、キッチンへ行き掛けたのだが、くるっと振り向いた。

「今のは面白かったけど、ちょっと疲れるから、なるべくストレートに言って欲しいな」

「はい。次からはそうします」

「それと、”ブラフ”の意味は、解ってるのよね?」

それぐらいは、解ってる。日本語に訳せば、”嘘”だな、って……

「あっ」

冬美さんは、嘘を吐く男は大嫌いなのに、何やってんだろう、俺は……

「イエローカード。あと1枚で退場だから、気を付けて?」

「はい!」


冬美さんから叱られはしたが、賭けには勝利したわけで、俺はこの上なく嬉しかった。

今日は俺と冬美さんの、同棲開始の記念日だ。

あ、熱帯魚はどうしようか。世話するの、面倒臭いんだよなあ……
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