冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~
その後は、平穏な日々が過ぎた。

週刊誌に社長のゴシップが掲載される事は無く、田中という男は、影も形も無かった。

俺と冬美さんはなるべく外出を控え、会社の帰りには例のドラッグストアで買い物をし、俺は風呂の用意とかをして、冬美さんは手料理に勤しむ。

そして食後は一緒に……は、まだだが風呂に入り、リビングでまったりした後、ベッドで冬美さんと眠る。もちろん、一汗掻いてからだが。

そんな日常が、何とも俺は心地よかった。

ちなみに俺と冬美さんの仲は、社内で噂になり、すぐに公然の仲へと発展した。もちろん俺も冬美さんも、まったく気にしなかった。

昼休みになり、俺達は社外へ食べに行く事になった。連日社食では、飽きてしまったのだ。

「ねえ、どこへ行く?」
「冬美さんが行きたい店でいいよ」

「そう? 私、石焼ビビンバを食べたい。本当は最低でも週一は食べないと、気が済まないの」

「ああ、サバの味噌煮も旨い店だよね? 行こう行こう」

会社の近くにちょっとしたビルがあり、その中にいくつかの飲食店があって、その一つが目指す店だ。韓国料理店なのか日本料理店なのかよくわからないが、石焼ビビンバとサバの味噌煮が人気の店だ。

少し並んでから店に入り、俺達は個室に案内された。
石焼ビビンバとサバの味噌煮を注文し、個室なので人目を気にせず、それらをシェアして食べた。

「石焼ビビンバは、おこげが美味しいのよね」

「うん、確かに旨いね。サバの味噌煮も中々だよ。あーんして?」
「あーん」

なんて事も、個室ならではだ。
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