冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~
食事が終わり、冬美さんは化粧室へ行き、俺は会計をした。

店を出たところで、俺は冬美さんが戻るのを待った。女性はとかく長くなりがちだから、とは思うものの、ちょっと長過ぎる気がする。

そうこうしていたら、良く知った女性が俺に向かってずんずんと近付いて来た。上原だ。

「北野先輩。あんな女、付き合うの止めなよ」

上原は、俺の前に来るなりそう言い放った。かなり怒っているようだ。

「何だよ、いきなり……」
「もう浮気してるよ、あの女」

「な、何だと!? どういう事だよ?」
「アタシ、見たもん。あの女が、イケオジに肩を抱かれてるのを」

イケオジ?
社長、ではないよな。社長なら社長と言うはずだ。

「それはいつ、どこでだ?」
「ついさっき、あっちでだよ」

しまった! そいつはたぶん田中と言う男だ。
くそっ! 俺とした事が、油断しちまった!

俺は上原が”あっち”と言った方向へ、全速力で走り出した。背後で上原が何かを言ってたが、それは無視だ。
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