四神の国の朱雀さま
颯真は、そう言って悲しそうに笑う。

「だけどね。異世界で暮らした数か月は、本当に楽しかった。朱音っていう友だちがいたから……異世界でも、家族はいなかったんですけど」

「……」

「ねぇ、朱雀さま。僕と友だちになってくれませんか?……この世界に戻ってきてから、前よりも寂しくて辛いんです。1人は慣れた、はずなのに」

今にも泣きそうな顔で僕を見る颯真を見ているのが辛くて、僕は颯真にとある提案をすることを決める。

「……友だち、は無理だけど……側近になら、なってもいいよ」

今度は、颯真が「え?」と声を出す。

「四神や怪異を見ることの出来る人間って、僕らの間では『魔力持ち』って呼ぶんだけど……魔力持ちの人間って、神の従者になることもあるんだ。その代わり、僕らと同じように人間の目には見えなくなるし、神と同じ年月を生きることになるけどね……えっと、つまり……僕ら四神と同等の存在になるってこと」

「……例え人の目には見えなくなろうと、神と同じ時間を生きることになろうとてそれでも構いません。朱雀さまの側に居れるのなら……」

真剣な表情の颯真を見て、僕は「分かった」と頷く。

「本日をもって、颯真を朱雀の側近とする。よろしくね」

僕が颯真に手を差し出せば、颯真は「よろしくお願いします。朱雀さま」と僕の手を握った。
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