ひとつ、ふたつ、ひみつ。
若干騒いだせいで、図書室内の数少ない生徒の視線が集まる。

「わ、そんなことより、早くマスクして」

「なんでそんなに慌ててんの、こまり」

「だ、だって……」

隠れる気ゼロの真尋くんに、私は強制的にマスクをかけさせるけど……。

ん、んん?
これ、イケメン度、下がってないな?

鼻と口を隠せば、50%減になるかと思ったのに。
どこかのパーツが見えている限り、結局ただの王子様だよ、この顔は。

「……もう一枚、マスクする? 目元に」

「俺、何も見えなくなるよ」

「だよね……」

マスクをしたくらいじゃ、図書室から出すことが出来ない。
廊下を歩けば、また誰かにこの顔が見つかってしまう。

ふと図書室の時計を見てみると、あっという間にまた次の授業の時間が(せま)っていた。

今度こそは、休めない。

「真尋くん、ごめん。次の授業は出る──」

「こまり? もう、こんなところにいた~」

「!!」

背後から聞こえた声に、ビクッと飛び上がりそうになった。

恐る恐る振り返ってみれば、そこにいたのは花恋。
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