ひとつ、ふたつ、ひみつ。
あっくんは無言でエレベーターのボタンを押し、今度こそ中に乗り込んだ。

……なんだったんだろう。
真尋くんのことがバレているわけじゃないってことで、いいのかな。

エレベーターの中でも、五階に着いて通路を歩いていても、あっくんは何も喋らない。

き、気まずい……。

部屋の前に到着して、沈黙の終了を予感して、ホッとする。

「じゃあ、また明日──」

扉の鍵穴に鍵を差し込んだ、その時。

「こまり」

「えっ」

名前を呼ばれて、ドキッとする。
どうしよう。部屋の中に誰かいるだろ、とか言われたら。

「な、なに?」

平常心、平常心……!

「……今度」

「う、うん?」

「土曜日」

「土曜日?」

「……」

「……ど、土曜日、なに?」

部屋見せろとか? そうなら、真尋くんに隠れてもらわないと。

冷や汗を流しながら、次の言葉を待つと。

「買い物付き合え」

「…………はい?」

予想外すぎる言葉に、まぬけな声が漏れた。
か、買い物?

「だから、土曜日空けとけって言ってんだよ」

「え、あ、うん? 分かった、いいよ……?」
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