ひとつ、ふたつ、ひみつ。
というか、あれがキス?
本当に?

私が知識として知っていたものは、唇と唇を触れさせて、それで終わり……みたいな。
そういう……。

「~~っ!」

思い出してしまって、声にならない叫びが、喉元で引っかかっている。

なんか、真尋くんの……あれは。
すごい強引で、……エッチな感じだったような。

あんな……、あれの後に、普通に日常に戻るとか無理すぎる。

どうしよう。
どうやって、顔を合わせたらいいんだろう。

こんな、ふたりきりの部屋で。

早く意識を手放してしまいたいのに、当事者にこうやって抱きしめられている状況では、それはとても難しい。

意識がない状態のはずなのに、抱きしめる力がどんどん強くなっているし。

なんで、穏やかに寝息を立てていられるの?
信じられない……。
私のドキドキが、絶対にうるさいはずなのに。

結局私は、ずっとうんうんとうなりながら、一睡も出来ずに朝を迎えた。
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