ひとつ、ふたつ、ひみつ。
あっくんが私を大好きっていうのは、なんだか語弊があるけれど。
幼なじみという関係性が、そう見えちゃうのかな。

「だから、真尋くんはかっこ悪くないってば」

「顔が?」

「顔以外も」

自分の顔がいいこと、自覚してるな、これは。
元の世界でも、絶対にモテてたよね。
自覚しない方が難しいような環境だったんだろうな。

「私ね、真尋くんがやきもちをやいてくれることが、嬉しいの」

だってそれって、私を好きだから……でしょ?

「かっこ悪くないよ。ていうか……かっこ悪くても、真尋くんなら好きだよ」

パチ、パチ、と、目の前で真尋くんがゆっくりとまばたきをする。
自分の発言が恥ずかしくなって、私は(きびす)を返してさっさとチャイムが鳴り響く玄関へ急いだ。
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