ひとつ、ふたつ、ひみつ。
「待って、こまり」

「!」

靴を履く直前であっさり追いつかれた私は、後ろから手をつかまれたことでバランスを崩して、真尋くんの胸に倒れてしまった。

「ご、ごめ、真尋く……」

「ううん。俺が、急につかんだからだよ」

両肩を支えて、体勢を元に戻してくれたかと思うと、額に柔らかいものが当たった。

「いってらっしゃい、こまり。またお昼休みにね」

「は、い……」

反射で返事をして、少し遅れてから今のがキスだったということに気がついた。

「あはは、真っ赤」

「真尋くんのせい……」

「うん」
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