ひとつ、ふたつ、ひみつ。

ふたつ先の駅に到着して、私たちはホームに降り立った。

「もう着いたの?」

と、私に手を引かれて、真尋くんはキョロキョロと周りを見ながら後ろをついてくる。

「でもワープに比べたら、時間かかったでしょ?」

「そうかな。こまり見てたら、一瞬で終わったけど」

「わ、私じゃなくて、景色見てよ……」

せっかくの初めての電車体験が、家に帰ればいくらでも見れる私を見て終わるって、何。

真尋くんは、本当に調子のいいことばっかり言う。

異世界の日本では、女性と一緒にいる時には口説(くど)かなきゃいけないルールでもあるのか。

真尋くんのそういうの、全く慣れる気がしないんだけど。

一々(いちいち)心臓をぎゅうってつかまれたみたいになる。
困る。

「どこ行くの?」

「あ、ちょっと歩くけど、大丈夫かな。五分くらいで着くから」

「うん。こまりと一緒なら、どこでも行くよ」

「っ……」

だから、そういうの。
< 69 / 272 >

この作品をシェア

pagetop