ひとつ、ふたつ、ひみつ。
「じゃあ、ここは日本じゃないの? なんて国?」

私は、東北と北海道をぐるっと指で囲む。

「そこは、エルディアスだね」

んん、洋風。
聞いたことない。
カタカナっぽい名前の国だってことだけは、分かる。何語を話すんだろう。

「じゃあ、こっちは?」

次に、近畿地方より左側を指さす。

風桜(ふおう)国だよ。風に、桜って書くんだ」

え、かっこよ。
桜の名所みたいな名前。こっちは、漢字表記なんだ。

「でもさ、新潟とかは真尋くんの世界でも日本なんだよね? あそこは、雪国じゃなかったっけ?」

「新潟に雪が? こっちでは降るの? なんで?」

「なんでって、……えーと、日本には四季があるから?」

あれ? 雪ってどうやって降るんだっけ。
冷たい風が山にぶつかってとか、そんなんじゃなかったかな。

雪はホコリを核にしているから、人間がいるからこそ降るとか聞いたことがあるような、ないような。

「日本に四季? 本当に? こんなに暖かいのに?」

なるほど。ちょっと分かってきた。

真尋くんの世界では、こっちの日本よりも土地が少なくなっていて、多分自然そのものがめずらしい。

温暖化が進んでいるせいなのか、そもそも地理関係がズレているからか、四季がなくて常に気候は同じ。

……かな?

「まだ九月だからね。冬になれば、この辺でも雪は降るんだよ」
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