ひとつ、ふたつ、ひみつ。
「目を閉じて、イメージして。出来るだけ、具体的に」

「うん……」

玄関で靴を履き、真尋くんからやり方を聞いて、私はドキドキと心音を速くしながら目を閉じる。

うわぁ、ワープだ……。
どんな感じなんだろう。

初日に強制的に経験させられたけど、あの時は何がなんだかわからなくて、一瞬で終わったから。

学校……、学校の屋上……。

「手を離さないで」

吐息が、左耳に触れる。

がっこう……。
……う。

たまらず、パチッと目を開ける。

「目を開けちゃだめだよ、こまり」

「……耳元で囁かないで」

「ん? 弱いの?」

「ひぇ!?」

「あはは、真っ赤」

ふっ、てされた!

クスクスと楽しそうに笑う顔を、見上げてジッと目を細める。

「え? なに? 可愛いね」

睨んだんですが。
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