ひとつ、ふたつ、ひみつ。
「今度は邪魔しないでね」

私は再び目を閉じる。

「俺、邪魔してないよ?」

それが天然なら、(たち)が悪すぎるよ。

落ち着いて。よし、もう一回。
学校、学校の屋上。
学校の屋上を思い浮かべて……。

「イメージ出来たら、画面を右にスワイプするんだ」

「……うん」

まぶたの裏に学校の屋上を映し出す。

意を決して、真尋くんに借りたスクデの画面に人差し指で触れた。

ひゅうっと、体に涼しい風を感じる。

スカートの中がスースーする。

遠くから人の声が……する?

成功したの?
そう思い、そっと目を開けると……。

「!!」

空中!?

足元が地面についていないのに気がついて、咄嗟(とっさ)に真尋くんに抱きつくと、バタッと音を立ててふたりで床に落ちた。
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