ひとつ、ふたつ、ひみつ。
……で。
結局は。

「この部屋、本がいっぱいで、静かで、落ち着くね」

「そうだね……。大きい声出すとバレちゃうから、小声で話そうね……」

だらんとテーブルに体を預けながらリラックスする真尋くんに、隣の私は答えつつも、頭を抱えていた。

人生で初めて、学校の授業をサボってしまった……!

今日の世界史の授業は、出たくなかった。
それでも今までなら、嫌々でもサボるなんて選択肢はなかったはずなのに。

見事に誘惑に引っかかった。

後で、休んだ理由を先生に詰められるのも嫌だけど、もっと怖いのはあっくん。

ママみたいなあの幼なじみは、時間をいっぱい使って小言を繰り返すに決まっている。

うーん、うーん、とうなっていると、真尋くんは頭を抱える私の手を取った。

「ごめん。俺、こまりに嫌なことした?」

「ううん、真尋くんのせいじゃないよ」

最終的に、一緒にいることを決めたのは私自身だし。
世界史の授業に出なくて、ホッとしてしまった気持ちも本当だし。

「あとで、あっくんにめちゃくちゃ怒られるんだろうなって思って、考えただけでしんどくて」
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