冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
焦燥感に襲われながら自宅を飛び出し、呼んでおいたタクシーに乗り込む。
彩子先輩と話しているときは、彼女が今回の件に関与している可能性は低いと思いながら話していた。
でも、本当に三ツ橋さんが……?
なんのメリットがあって、彼女があんな記事を売り込んだのか意図が見えない。
私への恨み?
彼女が好きな元夫とはきっぱり別れたし、その件に関しては恨まれる筋合いはない。むしろ、感謝してもらうくらいなはずだ。
それとも、異動の件で恨まれている?
なんにせよ、あんな虚偽の記事をリークするなんて許されない。
指定されたビジネスホテルまではあっという間の時間で、タクシーを降車してそのまま指定された部屋へと直行する。
部屋の呼び出しインターホンを鳴らすと、少ししてドアが開いて中から三ツ橋さんが顔を見せた。
「ちゃんとひとりで来てくれたんですね」
数か月ぶりの彼女は相変わらずで、今日も華やかなオフィスレディスタイルに身を包んでいる。
微笑んで「どうぞ」と私を招き入れ、しっかりとドアの鍵をかけた。
「どういうことかきちんと説明して」
「こんな玄関先で話し始めないでください。奥で話しましょう」
落ち着き払った三ツ橋さんに対して、私のほうは動揺が露わで温度差が激しい。
それでもなるべく平静を保とうと努める。
玄関奥の部屋には他の誰かの姿はなく、ベッドと、ちょっとしたテーブルと椅子が一脚置かれたありふれた単身用のビジネスホテルの一室だ。
そこに、女同士が向き合って立ち話をするという異様な光景がある。