冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「でも……それでは、ご両親が納得しないと思います。やはり、初めから私ではなく初婚の方のほうが良かったんだなと。それに、この関係はあくまで偽りのものですから、バツイチの私とはやはりうまくいかなかったとしても、ご両親は──」
となりに腰を下ろしてきた裕翔さんが、「知花」と俯き加減の私の顔を覗き込む。そっと膝の上の手を取った。
「嘘から出たまこと……」
「え……?」
「俺は、知花との関係がそうなればいいと思ってる」
裕翔さんはふっと笑って、包み込んだ私の手を指先で優しく撫でる。
それは、いったいどういう意味で言っているのだろう……?
疑問と比例して心臓があからさまに反応して大きく打ち鳴っていく。
そんなタイミングで裕翔さんのスマートフォンが鳴り始め、「悪い」と言って座ったばかりのソファを立ち上がった。
噓から出たまことって、初めは嘘だったことが、結果的に本当になっちゃうっていう、そんなことわざ。
私との関係がそうなればいいなんて、裕翔さんは思ってくれているの……?
自分の気持ちだけで突き進んでいいのなら、素直に嬉しいし、今すぐ自分の想いを伝えたい。
でも、それは決して許されないことだと身をもってわかっている。
好きになってはいけない人、想いを募らせてはいけない人。
自身の気持ちに気づいてから、抑えよう、鎮めていずれ消し去ろうと心に誓ったのに、反抗するように想いは募る一方で止まらない。
それなのに、そんな心の揺れるようなことを言われたら……。