冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「知花」
式典会場前の広間に差し掛かったとき、向こうから裕翔さんが現れ驚いて足が止まった。
「裕翔さん……」
さっき席を離れる寸前に見たときも、誰かと話している姿を目にしたばかり。
「お疲れ様です」
「お疲れ様。席を離れたのが見えたから」
「え、気づいてもらってたんですか?」
私は裕翔さんの様子を見ていたけれど、裕翔さんも私の動向をうかがってくれていたなんて驚き。
あんなにひっきりなしに人に声をかけられていたのに。
「ああ、もちろん。声をかけるタイミングを見計らってた。それにしても……」
裕翔さんは私を見下ろしふっと笑みをこぼす。
「ずいぶんと真面目な装いで出席したんだな」
「えっ、この格好がですか? 真面目って……」
たしかに、普段のオフィスでの装いとほとんど変わらないけれど、こういう式典で失礼のない格好と思ったらこれに落ち着いた。
スーツでも、ホワイトとか、明るい色味とかだったら良かったのかもしれない。
「もっと華やかなパーティー仕様でも良かったんじゃないか?」
「そうですかね……創立記念式典が初めてだったもので、間違いのない無難な格好で出席しました」
「そうか。じゃあ次回は、俺のとなりに居てもらうことになるだろうから一緒に決めよう」
訊き返したくなるような言葉をかけられ首を傾げそうになる。
そんなときだった。