冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
会場内から出てきた着物姿のお義母様が、こっちに向かって歩いてくるのが目に入る。
すかさず頭を下げた。
「ご無沙汰しております」
心の準備をする間もなく、お母様との再会を果たす。
「知花さん、お久しぶりね。夏にお会いした後、お食事でもと言っていたのに、時間も取れずに申し訳なかったわ」
「いえ」
「裕翔にも伝えていたけれど、あなたと直接お話したかったの。先日出た記事について」
いよいよお咎めを受ける覚悟を決め、返す言葉を慎重に頭の中で並べる。
最後まで、裕翔さんが〝選んだ女性〟として粗相のないように。それだけは最後まで演じ切りたい。
「記事の内容については、あなたを羨む女性社員のでっち上げだったことは聞いているわ。裕翔が既婚者と関係を持つような常識のない人間ではないことも、私はよくわかっているから信じなかった。でも、あなたが離婚経験があることは、どうやら本当みたいね」
「はい。初めてお会いした日にお話しせず、申し訳ありませんでした」
以前食事をしたときのような和やかな雰囲気はそこにはなく、お母様は美しい顔に笑みは浮かべていない。