冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「伏せるように決めたのは俺なんだ。彼女は事実を偽ることにいい顔はしなかった」
私の謝罪に裕翔さんが間髪を入れず補足する。
「あの、でも、結局話を受け入れて伏せたのは私なので」
「俺に頼まれたんだ、立場的にも、あのときの君は受け入れるしか術がなかっただろう」
裕翔さんはお母様に向かって「それも踏まえて、話がある」と真剣な眼差しを送る。
「彼女と、知花と結婚に向けて本格的に話を進めたいと思ってる」
お母様の顔が予想外のことを言われたかのようにハッと驚く。
「裕翔、落ち着いてよく考えなさい。あなたは、七十年も続いてきた会社の後継者なのよ。妻になる女性だって、身辺が綺麗でないと」
お母様の言っていることは、意地悪でもなんでもないと素直に思える。
バツのついている女性より、初めて結婚をする女性のほうがいいに決まっている。
私がお母様の立場であれば、きっと同じことを思い、息子にそう言うだろう。
そこへ、裕翔さんのお父様──会長が姿を現す。
私たち三人の様子を見て、なにを話しているのか察したようだ。
「あなた、裕翔が知花さんとの話を進めたいって」
助けを求めるようなお母様の様子に、心苦しさを感じる。
もうこの場で、私は依頼を受けて婚約者役をしているだけですと暴露してしまいたい衝動に駆られる。