冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
式典が終わって見たスマートフォンには、裕翔さんからのメッセージを受信していた。
ホテルエントランス前の車寄せで待っていると入っていて、待たせないように急いで外に出ていく。
数分後、黒塗りの裕翔さんの車が姿を現した。
「寒いのに外で待っていたのか」
助手席に乗り込んだ私への第一声はそれで、当たり前に出てくる気遣いに自然と顔が綻ぶ。
「大丈夫です」
「朝晩は大分冷えるようになっただろ」
シートベルトを締めた私の手を、裕翔さんがそっと掴む。
触れた温かい手に鼓動が主張し始めたけれど、裕翔さんはすぐにその手でハンドルを握った。
「今日はお疲れ様」
「はい。改めまして、七十周年おめでとうございます」
「ありがとう。今日を迎えられたのも、うちに関わり携わってくれた人たちのおかげだ」
車はホテルの敷地内を出て、すっかり日の暮れた日比谷通りを走っていく。
なにから、どこから切り出そうかと静かな車内で考える。
でも、一番はやはり気にかかっている心配事。
ご両親とお祖父様と話してから、ずっと気がかりでそればかり考えている。
「裕翔さん、あの……さっきのは、やりすぎではなかったかと……」
話を切り出すと、運転する裕翔さんが「やりすぎ?」とちらりとこちらに目を向ける。