冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「あ、あの、わたくし、夕方お話いただいた、コミュニケーションチームの唐木田です」
つい〝わたくし〟なんて言ってしまうほどの緊張ぶり。
案の定、くすっと笑われる。
《嬉しいよ。早速連絡をもらえて》
さらっと出てきた言葉に不覚にもどきりと鼓動が反応する。
七瀬CEOは〝婚約者のフリをしてもらう重要ミッション〟の返答が早くて喜んでいるだけの話だ。
私からの連絡にそんな言葉を口にしたわけじゃない。
「はい。あの、今日いただきましたお話の件で、お電話失礼しました」
《ああ、考えてくれたか》
「はい。私で、務まるのか不安はありますが、詳細を伺えたらと……。それから、異動の件、本当に考えてくださるのですか?」
話を受けようと思ったのは、条件として人事異動の優遇を出されたから。
キャリアアップ、挑戦してみたい仕事がある私にとって、希望するチームに配属してもらえるチャンスは逃したくない。
《もちろん。希望の配属先にすぐに異動させよう》
はっきりとした返事に決意は固まる。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
《こちらこそ。早速、両親に都合をつけてもらって席を用意する。詳細決まり次第、また連絡する》
「わかりました」
七瀬CEOは「じゃあまた」と言って通話を終わらせた。