冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


 しかし、結婚一年目になる頃には雲行きが怪しくなり始める。

 日々の帰宅が遅くなり始め、休日も急な出社だと言って家を空けることが多くなり始めた。

 仕事を理由にしても、私たちは同じ部署。

 担当業務が違っていても、なんとなく仕事の進行については見当がつくもので、帰りが遅いことや休日出勤に疑念を抱かざるを得なかった。

 それでも、なんとか冷めだしているかもしれない夫婦関係を修復しようと、私なりに努力をした。

 仕事から帰っても、毎日夕食はきちんと用意したし、一緒に過ごす時間はたくさん話をしようと心がけた。

 だけれど、そのすべてが彼にとっては煩わしかったのだ。

 体調を気にかけて用意した食事も、会話を増やそうと出した話題も。

 なにか心配をすれば『おかんみたい』だと言われ、妻としてみてもらえなくなった。

 そんなある日、彼のスーツのポケットから信じられないものが出てきたのだ。

 それは、リボンをモチーフにしたピアスの片方。

 私の耳にはピアスは開いておらず、それが他所の女のものだというのは確定だった。

 相手の女からの宣戦布告なのか、はたまた、偶然、逢瀬中に紛れ込んでしまった事故なのか……。

 どちらにせよ、それは動かぬ証拠となり、私から彼を問い詰めるきっかけとなった。

 ピアス発見の翌日。

 すでに衝撃を受けている私に、更なる追い打ちをかける出来事が起こった。

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