冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
それが、今向こうで会議の資料が間に合わないとかわいく助けを求めている彼女──三ツ橋麻未が絡んでいたのだ。
彼女は私たちより一年後の入社で、同じ部署に配属された後輩。
胸下まであるロングヘアはいつも艶々で緩くカールをきめていて、オフィスファッションは常に華やか。
地味な色の服を身に着けることはなく、常にパステルカラーなど明るい色のコーディネートを心掛けているような女性だ。
ファッションは自由とされていても、基本的にジャケットを身に着けてカチッとした装いをしている私とは会社自体が違うのではないかと思われるほど雰囲気が違う。
それだけではない、私たちを並べたとすれば顔だってぜんぜん違う。
三ツ橋さんは朝のメイクにしっかり時間をかけているのがわかるし、顔全体がキラキラしている。
もともと、あまりしっかりメイクをしてこなかった私は、社会人として失礼にならない程度の最低限のメイクしかしていない。
目元がキラキラしたり、うるうるのリップだったり、そんな華やかさは皆無だ。
男性は、三ツ橋さんのような女性らしい雰囲気の人に惹かれるのは当たり前だろう。
そんな彼女が、ピアス発見の翌日、部署内でなにげなく口にしていた言葉が耳に飛び込んできたのだ。