冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「初めまして、唐木田知花です。よろしくお願いいたします」

「知花さん、初めまして」


 お父様が言うと、お母様もにこやかに笑って「初めまして」と言ってくれる。


「とりあえず、席について落ち着いて挨拶をしようか」


 お父様の一声で、スタッフが立ったままの私たちの椅子を順番に押していった。


「裕翔の父です。お会いできて嬉しいよ」


 お父様が挨拶をし、続いてお母様が小さく頭を下げる。


「裕翔の母です。知花さん、今日はありがとう」

「こちらこそ、お時間いただきましてありがとうございます。お会いできて光栄です」


 初対面の挨拶をなんとか無事に済ませると、さっきまでの緊張がほんの少し落ち着く。

 やはり、一番初めが緊張は最高潮になるはず。

 でも、物腰の柔らかく、優しいご両親で良かったとホッとしている。

 それからすぐにドリンクをオーダー、コース料理が開始した。

 ご両親は今日はこの後オフらしく、揃ってお酒を嗜まれ、顔合わせの席は和やかなムードで時間が流れていく。

 打ち合わせ通り、基本的にご両親からの質問には七瀬CEOが受け答えをし、私が話を合わせるというスタイルで会話は交わされた。

 約二時間ほどのコースは特に大きな問題もなく、無事にお開きに。

 ご両親は、今度は家に遊びに来てとまで言ってくれていた。

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