冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


『お気に入りだったピアスなくしちゃって』


 彼女のほうに思わず目を向けてしまうほど、衝撃の発言だった。

 その瞬間、動悸がすごくなったことを、今でも鮮明に覚えている。

 話の相手になっていた彼女の同期の女性が『どんなやつ?』と質問し、三ツ橋さんが口にした言葉に心臓が止まりかけた。


『立体的な、リボンのピアスなんだけど』


 耳にした声に、私は必死に平静を装った。

 聞こえてないふり、なにも知らないふり。

 もしかしたら、彼女は私に聞こえるようにわざと話しているのかもしれない。

 あの当時は心臓が壊れるほど動揺したけれど、今となっては、あれは彼女から私への宣戦布告だったのだと落ち着いて分析できている。

 彼の相手が、同じ職場で同じ部署の後輩女。

 それは、私にとって衝撃でしかなかった。

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