冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「すみません、見ていただいていたのも気づかずで」

「気づかれないように見ていたから。いいプレゼンだった」


 七瀬CEOに良かったと言われ、今日一番の達成感と安堵が広がる。


「君ならではの、いい切り口のサービスだと思った。実装する価値はあると思う」

「え……本当ですか?」

「ああ。これは、プライベートな付き合いがあるからとかの特別扱いは一切なしで言っている。たとえ君と顔見知りでなくても、この企画は実現に一票投じていた」


 こんなに絶賛してもらえるとは思わず、胸打たれる。勢い余って「ありがとうございます」と頭を下げていた。


「今後に期待している」

「はい。ありがとうございます」

「今日はこれからオフィスに戻って退勤か」

「はい、そうですね」


 時刻は十七時を回っている。

 今日はプレゼン後、仕事が終われば退勤していいとチーム長に言われている。


「スマホ、鳴ってる」


 置いておいたスマートフォンが振動していて、先に気づいた七瀬CEOが知らせてくれる。


「すみません」


 慌てて手に取ると、表示されているのは母の携帯番号だった。

 さっきプレゼンの最中にも着信があり、スルーしていた。

 こんなに何度もかけてくるなんてどうしたのだろう。

 不思議に思っていると、七瀬CEOが「構わず出ていい」と言ってくれ、ひと言断って通話に応じた。

< 74 / 172 >

この作品をシェア

pagetop