冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「すみません、見ていただいていたのも気づかずで」
「気づかれないように見ていたから。いいプレゼンだった」
七瀬CEOに良かったと言われ、今日一番の達成感と安堵が広がる。
「君ならではの、いい切り口のサービスだと思った。実装する価値はあると思う」
「え……本当ですか?」
「ああ。これは、プライベートな付き合いがあるからとかの特別扱いは一切なしで言っている。たとえ君と顔見知りでなくても、この企画は実現に一票投じていた」
こんなに絶賛してもらえるとは思わず、胸打たれる。勢い余って「ありがとうございます」と頭を下げていた。
「今後に期待している」
「はい。ありがとうございます」
「今日はこれからオフィスに戻って退勤か」
「はい、そうですね」
時刻は十七時を回っている。
今日はプレゼン後、仕事が終われば退勤していいとチーム長に言われている。
「スマホ、鳴ってる」
置いておいたスマートフォンが振動していて、先に気づいた七瀬CEOが知らせてくれる。
「すみません」
慌てて手に取ると、表示されているのは母の携帯番号だった。
さっきプレゼンの最中にも着信があり、スルーしていた。
こんなに何度もかけてくるなんてどうしたのだろう。
不思議に思っていると、七瀬CEOが「構わず出ていい」と言ってくれ、ひと言断って通話に応じた。