冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「はい、どうしたの?」
《あ、知花? まだ仕事かしら、ごめんね》
通話の向こうはどうやら外のようだ。騒々しい。
「さっきは仕事中だったから出られなかったよ、ごめん」
《もう終わるの? それならよかった。今ね、東京に出て来てるのよ》
「えぇ? 東京に来てるの? 今?」
聞き間違えかと願いつつ、訊き返す。
しかし……。
《明日までいる予定なのよ。もっと早く連絡すればよかったわよね》
「本当にこっちにいるの!?」
私の話し声に、となりにいる七瀬CEOがじっと顔を見つめてくる。
《そんなに驚かなくても。で、こっちで知花に会えたらと思って。この間のゴールデンウイークも、忙しくて帰って来られなかったから、食事でもどう? お父さんも一緒よ》
「そんな、いきなりこっちに来てるなんてビックリだよ。別に、食事は大丈夫だけど……」
《本当? どこかいいところ連れていってよ。それに、縁談の件もちゃんと会って話したいし》
このタイミングでまた例のお見合い話が出てきて、ついため息をついてしまう。
「だから、その話は私はもう断ってるのに」
横から肩を叩かれて振り向くと、七瀬CEOが黙ったまま頷く。
その様子、表情からなにかを察したようだ。
《そんなこと言わないで、ね? じゃあ、今から会いましょう》
「うん、わかった。とりあえず、まだ退勤してないから、少ししたらかけ直すから待ってて」
一旦話をまとめ、通話を終わらせた。