冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「すみません、プライベートな通話を」

「ご両親が東京に出てきているのか」


 そう訊いた七瀬CEOは「悪い、盗み聞きみたいな形になって」と謝る。


「いえ、ここで話したのは私ですから。そうなんです、両親が東京に出てきているようで、今からどこか食事でも案内してと……」

「縁談の話もしようと?」


 そこまで知られているとは思わず、あからさまに驚いた顔を見せてしまう。

 今の私の応対で感じ取ったのだろう。


「はい。未だ、話を進めようと粘られていて……」

「その縁談、君は白紙にしたいんだな?」

「したいですし、するつもりです。仕事も、やっと自分なりにビジョンが見えてきて、もっと頑張りたいって思えているところなのに、実家に帰って結婚なんて、考えられないですから」


 私の主張を黙って聞いてくれていた七瀬CEOが、綺麗な顔に微笑を浮かべる。


「よく伝わった。それなら、力になりたい」

「え……? 力に?」

「君の交際相手として、今からご両親に挨拶させてもらいたい」


 え……えぇぇぇ!?


 思わず叫びそうになったけれど、なんとか心の中だけに留める。


「本当ですか?」

「このタイミングで冗談を言うと思うか?」

「それは……言わないと思います」


 ふっと笑った七瀬CEOに、鼓動が打ち鳴り始めたのを感じる。


「帰宅すると伝えてくる。下の駐車場で待っててくれ」


 そう言い残し、七瀬CEOは会議室を出ていった。

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