冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「もし、アルコールに不得意がないようでしたら、店側におすすめのものをお願いしましょうか?」


 七瀬CEOから丁寧に伺われ、両親は揃って「お願いします」とお任せでオーダーする。


「知花は?」

「あ、私は七──」


 言いかけて、いけない! と気づく。

 この場合、ちゃんと下の名前で呼ばないとせっかくのセッティングが台無しだ。


「裕翔さんと同じものでお願いします」

「わかった」


 ドリンクのオーダーが済み、個室内が四人だけになると、七瀬CEOが話を切り出す。


「すみません、改めてご挨拶を。七瀬裕翔と申します」


 七瀬CEOの挨拶に、両親は「知花の父です」「母です」と続けて挨拶を返す。


「知花さんには、我がナナセホールディングスに大変尽力いただいております。ご両親にも、こうして直接ご挨拶させていただく機会があり大変光栄です」

「そそ、そんな! こちらこそ、知花がいつも大変お世話になっております」


 基本的にいつものほほんとしている父がこんな畏まって言葉を並べている姿は見たことがない。

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