冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「あの、最高経営責任者の七瀬さんが、知花と……?」


 母は恐れ多いのか、はっきりと質問が言い切れない。でも、いったいどういうことなのかを今すぐ知りたい様子も窺える。

 ここまで私がずっと黙っている状態も不自然だと思い、「あのね」と意を決して話に入っていく。

 せっかく七瀬CEOが縁談を白紙にする手伝いをしてくれているのだ。すべてお任せでは非常に失礼。

 私だって、ちゃんと縁談を取りやめにしてもらうために動かなくてはいけない。

 両親が私に注目する。七瀬CEOも私の言葉を待ってくれているように微笑を浮かべていた。


「縁談をやめてほしいと言ってたのは、裕翔さんとお付き合いをさせてもらっているからで……」

「CEOと!?」


 母は食いつくように驚いた声を上げる。

 嘘でも自分で口にした言葉に打ちのめされそう。それくらい威力がある。


「実は、ビジネスの場ではなく、プライベートな場面で知花さんとは知り合いました。お互いの立場関係なく交友を深めたんです」


 この話は、きっと七瀬CEOがご両親に話した設定と恐らく同じなのだろう。

 どこでと訊かれたら、クッキングスクールだと答えるはず。

 しかし、うちの両親にその余裕は皆無で、ふたりとも詳細も聞かずに「そうだったのですか」と聞き入っている。

< 81 / 172 >

この作品をシェア

pagetop