冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「ですので、私が彼女の勤め先のCEOだろうと、知花さんは私をひとりの人として見てくれています」
互いの立場は関係なくお付き合いをしているという話に、両親は感心したようにう頷いている。
「あの、でも、うちの子はもう……」
母は、私が一度結婚していると伝えたい様子だ。
でも、もし七瀬CEOがそのことを知らなければこの場がおかしな雰囲気になってしまうのを危惧したのだろう。
曖昧な言葉で質問をしている。
でも……。
「ご安心ください。知花さんの過去の事情もすべて知った上で真剣交際をしています」
さすが七瀬CEOだ。
母の微妙な聞き方ですら読み取り、安心できる完璧な回答を返す。
「そうなんですか? バツがある娘ですが、そんな娘でも」
「この場で話題にも出したくないことではありますが、私の知る限り彼女に非はなかったと。こう言っては不謹慎ですが、知花さんを手放してくれて私としては感謝しています。こうして知り合うことができましたから」
私が七瀬CEOの立場だったら、こうも心を動かせる言葉がすらすらと出てこない。
現に、両親は感動したような表情で彼の言葉に聞き入っている。
「そんな風に思っていただき……知花も、いろいろありましたので、そう言っていただけると救われます」
様々な思いが巡ったのか、母は目に涙を浮かべ始める。