冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「ちょっと、お母さんっ」

「だって、お母さん嬉しくて。こんな風に言ってくださる方と、知花が……」


 バッグからハンカチを出して目頭を押さえる母を前に、胸が押しつぶされるように重苦しくなっていく。

 七瀬CEOとの関係はあくまで偽装。

 いずれ、彼とはどうにもならなかっことに、両親は悲しむのかもしれない。

 それがわかっていてこんな風に騙すような形になっているから、息苦しさを感じても仕方ない。


「今日はご両親が東京に来られていると知花さんから聞いて、勝手に席を用意してしまい申し訳ありません。ですが、こうしてご挨拶ができて良かったです。ありがとうございます」

「七瀬さん、こちらこそありがとう」


 父はその場で深々と頭を下げる。


「七瀬さん、こんな娘ですけど、どうぞ末永くよろしくお願いします」


 部屋前から「失礼いたします」と声が聞こえてきて襖が開く。

 着物のスタッフがふたり、注文したドリンクと、コースの料理を運んできた。

 ちょうどきりのいいところで食事が始まる流れとなり、和やかな雰囲気で乾杯のグラスを手に取った。

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